バングラディッシュの5日目。本日は帰るだけなので、4日目の続きを。
アパレル工場を回ってから、ドイツのバイイングハウスに行くことに。
バイイングハウスとは、バングラディッシュで商品を開発したい、仕入れたい、
という日本のメーカーや小売の要望を聞き、それに見合った工場や人脈をバングラの中で見つけ出し、
流通させていくという役割を担うものである。
欧米の会社はバングラディッシュにバイイングハウスを持っているが、
日本のバイイングハウスはないといっても過言ではない。
今回はドイツのアパレルメーカーであるsOliver(エスオリバー)の
バイイングハウスの方とお話をさせてもらう機会に恵まれた。そこで色々と質問をさせてもらった。
日本バイイングハウスの可能性は?と聞くと、日本がどう考えるか。売り先はあるかが大事。ということだった。
また、なんで今までバングラに日本のバイイングハウスがないのか?と聞くと、
日本がバングラのことを知らない。バングラが日本に営業してない。からだと。
成功する可能性は、工場選びと日本でどうさばくか。であると言い切られていた。
まぁ、それがバイイングハウスの肝であるので、その通りだと思われる。
バイイングハウスは現地での人脈や工場との繋がりがあれば、
あとはマーチャンダイザーと品質管理と書類作成と事務所とインターネットがあったらOK。である。
報酬形態は2つあり、1つはトレードハウスでやるやり方。
トレードハウスとは、先方の予算に合わせるやり方。
先方が500円だったら480円で出来るように動く。
もう1つは一定の割合を抜くやり方。
その仕事の流れはというと、企画書を送る。なんぼで出来るかを検討をつける。
工場に行く。100枚サンプルを作ってもらう。
バイイングハウスがはじき出した数字と工場の数字が合ったらOK。
本国に送って、100サンプルが売れそうか調べて、他社に営業しに行く。
だいたいこのくらいの値段で欲しいというものを再度聞いて、
工場とバイイングハウスで再交渉するそこでまとまれば契約。
このような流れである。
バングラで商品の仕入れ、商品開発、商品企画、OEM生産などあらゆることをしたい場合、
自社だけで開拓したり、現地とのコネを作り上げるのは難しい。
このようなバイイングハウスがあれば、そこを流通の拠点として色んな動きが出来る。
この日本バイイングハウスを創りあげていこうと思う。
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2010.07.07
バングラディッシュ【バイイングハウス】
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2010.07.06
バングラディッシュ【OEM】
バングラディッシュの4日目。
かなりのハードスケジュールで5件アパレルを中心に回る。
1件目の縫製工場はスペインの仕事ばかりやっている。
企画書と数量を出さないと見積もりもサンプルももちろん出来ない。
ドイツのブルーセブンの商品を作っている。
BSCI。ヨーロッパの一番厳しいコンプライアンスを遵守。
ランクの上のヨーロッパ会社はコンプライアンスを遵守しているところしか注文を入れない。
コンプライアンスのあるなしで金額は大きく変わる。
見積書にはGSMと糸の種類とロットと金額が書かれている。
2件目は、コンポジット。(同じ建物の中で全部やること)
品質は高い。糸から製品まで全部出来る。
ウォルマートやH&Mが2015年までブック(予約)していたりする。
さっき8億の注文が入ったとかそういうレベル。
3件目は、CANDAというドイツのメーカーの商品を作っていたりする。
日本は叩くくせに品質を高く言う。
もう大きくなったとこは日本との取り引きをやる必要がない。
ユニクロとも交渉をしていたが、注文を受ける必要がない。
値段出さずに注文ばかり言う。中国が甘やかした。
バングラの会社から日本の会社がどのように思われているのかが分かる。
4件目は、EVERLASTもディズニーもPARDONなど
色んな会社のプリントをしている印刷技術が最高レベルのアパレル工場。
印刷の最小ロットは1000枚~でOKだと言う。
10年でここまでの大きな会社に育てた。
機械も最新式のものばかりであるし、ミシンもイタリアや日本の一流メーカーのものしか使っていない。
工場の中もめちゃくちゃキレイ。品質の高さを物語っている。
バングラディッシュの大きなアパレル工場はメインが欧米である。
元々の流れでもあり、日本の品質と価格に対する要求が無茶苦茶な面もある。
また日本がバングラのことを知らずに仕事をもってくるから、
ただ単に安いモノを高品質で作れ!としか言わないらしい。
バングラも日本を相手にするより欧米を相手にしている方が全てにおいてプラスに働くと思っている。
ここを変えないといけない。
双方にとって、もっと理解を深めなければ日本の企業がバングラの工場や会社と
一緒に仕事をしていくのは難しい。ミスマッチがおこっている。 -
2010.07.05
バングラディッシュ【商品企画】
バングラディッシュ3日目。本日は革(レザー)系の工場を2つ。
1件目は革のなめしからやっている工場。
1ロット40~50フィートやらないといけない。1ドラムで約1トン。
ウェットブルとはなめしが終わったもの。
クラストとは輸出が出来る状態のもの。
スプリットとは本革と分けた後の悪い方。
ウェットブルの段階で分ける。スプリットは本革の裏。
この地区に革の工場は大型で20個ほど、小型で100個ほどある。
流れとしては、
1.塩漬けする
2.ドラムに入れて、毛を落とす
3.皮の裏に付いている肉を削る
4.ドラムでウェットブルにする
5.水分を取る
6.削って本革とスプリットに分ける
7.スチームかけたり、アイロンしたり、圧力で本革のクラストを作る
キャパは1日10000頭。
クラストの後は他国でも加工などが可能。
3日~4日間干す。
スプレーをかけて、色を付けて、ラッカーで固める。
このような一連の流れを経営者の方と一緒に工場を回って、教えてもらった。
ソールは自社のものと仕入れがあり、自社のソールであればすぐに取り掛かることが出来る。
定期的な注文があると早くなるが、通常は2週間かかる。
毎回の注文がいただける状態だと最低で1000足が最小ロット。
この会社のお父さんがフィニッシュレザーの会長になった。かなりの力を持った会社である。
2件目の会社様は日本の商社とはよく仕事をされている会社。
ティンバーランドの靴やクラークスの靴も手掛けている。
バングラには年に2回祭りがあり、その祭りで殺す動物はセレクションというが、
若くて病気や傷が無いヤギやウシが用いられる。それが良い革になる。
これを買い取る力を持っている。
3日目は革のなめし工場など今はどこもほとんどやっていないようなところに行かせてもらった。
動物の皮が山積しており、ドラムで皮の裏の肉が取れないものに関しては
人間が棍棒で取り除いているという原始的なやり方であった。
普段使っている革がどのようにして、商品になっていっているか。
この現場を見てから、革に対するイメージが覆った。
全ての商品には一番の元となるところがある。
これからはそこを意識して取り組んでいきたいと思った。 -
2010.07.04
バングラディッシュ【商品開発】
バングラディッシュの2日目。本日は凄い会社に行きました。
ギベンシーグループ(GIVENSEE GROUP)http://www.givenseegroup.com/という大企業。
農地を買い取って、天然ガスを引いて、アメリカの発電機を持ってきて、
人が集まって、市場が出来て・・・。
日本の昔の鉄道会社がやっていたようなやり方で、この企業を中心に街が出来上がるみたいな感じ。
バングラの中でも19個工場を持っている。
従業員は全員で25000~30000人。
福祉にも力を入れていて、年寄りを集めてきて、介抱してあげている。
マザーテレサも訪れている。
また、全てを自前で揃えており、糸、生地、カットソー・セーター・ラベル・Gパン・染物・ジッパー・織物・編み物・ダンボール・プラスティックバッグなど全部自社で製造している。
ギベンシーグループの経営者と共に、視察スタート。
1件目はデニム工場。
10ライン走っており、従業員は1700人。
最新のキャドで商品開発されており、メインのお客様はアメリカ・トルコ・ヨーロッパ。
今のキャパは月に30万枚。
日本の人に非常に親切で、最低1型で5000のロットで受けてくれると言う。
決済はLCである。
2件目は縫製工場。
糸から自社工場で作っている。
ここがバングラの中でも他社との違いになる。
糸や麻から生地を作れるのが強みであり、社員は糸を工場から借りて終わったら返すという出来高制。
各部品を1つ1つ目で品質管理している。
針の検査は2人の責任者のみ中に入れる仕組み。
検品に対する基準が高いかどうかを海外の人は気にするので、そこには注意を払っているという。
凄い大規模な会社であった。
でも、働いている人はみんな幸せそうだった。
全ての面倒をその会社が見てくれるのだという。
もっと薄暗くて、汚くて、臭いところで働いているのかと思いきや、
キレイで生産性が高く、統制されており、みんなキビキビとしている。
海外の労働環境というものに対してのイメージも覆された。
やはり現場を見なければいけないな、と感じた。 -
2010.07.03
バングラディッシュ【仕入れ】
バングラディッシュに着いて1日目。
空港から直接、靴とカバンの工場へ。
Abedinさんの工場。
BBJ Leather Goods Ltd →http://www.bbjabc.com/という会社。
32年前から経営している。
原料だけで8~10億円やっていた。
今回訪れた加工品を作る工場を始めて1年くらい。
スタッフも工場もキレイで躾も出来ている。
Abedinさんが言っていた。
『フード、アパレル、住宅、靴やバッグ。全て元々は農業。
全て農業が土台であり、必要になっている。農業が大切なのである。』
本当にそうだな、と思った。日本では少し縁遠いものになっているかもしれない。
そこの工場の標語。
1.実力でゴールまで
2.品質管理が第一
3.自分も集中し、周囲も集中させる
4.良いことを褒めましょう。間違いから学びましょう。
5.正直なことは発展の鍵
6.いつでも清潔
7.全員が家族
全て実践できていると感じた。
ロス率は3%以下。
1000足/日が最低ライン。
マックスで5000足/日まで可能。
この工場では靴と鞄がどのように出来ているのか全て分かる。
生地があって、部品ごとにカットされて、意外にハイテクな機械もあって、
縫製して、組み立てて、繋ぎ合わせて、検品して、キレイにして、商品が出来上がる。
その工程の1つ1つが丁寧にされていて、精度は驚くほど高かった。
また、元々革の原料をやっていた会社だから、革が本当に良い。
色んな革を触らせてもらったが、違いが明確にある。革で違いを出せる。
商品自体の差別化の大きな要素の1つである。
だいたいの価格も教えてもらった。
べらぼうに安いというわけではない。
でもそれでも良いと思った。
これだけの品質であればOKだろうと。
日本は安く安く、でも品質は良く!と言ってくる、とバングラの人は言う。
かなり矛盾していることを言ってくるらしい。
安かったらそれなりのものしか出来ない。
品質を良くしようと思ったらコストは高くなる。
そこに対しての努力を怠ったらダメであるが、行き過ぎも良くない。
どこかにしわ寄せがきているという商売は長期的には成り立たない。
バングラの人が価値/価格を高めようと努力している姿は本当に素晴らしかった。 -
2010.07.02
バングラディッシュ【想い】
バングラディッシュの視察へ。
なぜ、バングラディッシュへ行くのか。
そもそもバングラでの人脈や商品を製造する工場や、
その他諸々のものは持っている・知っている人がいました。
あとは、それをどう活かすか。どうビジネスに繋げるか。
というところの構築をご一緒できるということで、
じゃあ一度バングラディッシュに行かないとダメですね、となって、今回のバングラ視察の運びとなった。
なんで日本で安い商品が手に入るのか、海外での商品の開発・企画や仕入れなどの現場を見てみたい。というとこもありました。
世界的なサプライチェーン。もちろんみんな分かってる。
洋服のタグを見れば、様々な国名が書かれてある。車もそう。
ほとんどのものが世界との繋がりの中で商品化されている。
でも、その現場はほとんどの人が見たことがない。やっぱり一回は見ておくべきだと思った。
今回色々と連れて行っていただく方から言われたコトバ。
『同じメシを食う、同じ空気を吸う、同じ車に乗る、同じ想いを持つ。そんな人と仕事をしたい。』
そして、『バックボーン(それぞれの背景)がある。そして、それぞれの得意分野がある。こちらにはバングラでの人脈や工場との繋がりがある。みなさんはビジネスを組み立てる力がある。みんながハッピーになれるようにやっていきたい。』
実りあるバングラディッシュの視察にしたい。